PROJECT STORY
プロジェクト ストーリー
01
化成品商社が挑む、
パッケージの脱プラプロジェクト。
大量生産大量消費が常のパッケージ分野。化成品事業部でありながら、脱プラスチックに向けて紙を原料とした新しい環境包装資材を開発し、さまざまなメーカーと環境対応に向けたプロジェクトを進める「環境デザイン課」の取り組みについて話を聞きました。
参加者
中溝
化成品事業部
環境デザイン課
課長
1996年入社
堀崎
化成品事業部
環境デザイン課
生活産業チーム
リーダー代行
2011年入社
岡本
化成品事業部
環境デザイン課
生活産業チーム
2022年入社
環境対応プロジェクトの出発点
課題解決と競争の中で
中溝:プロジェクトのスタートは、大手食品メーカーの外装パッケージの改善から始まりました。当初はプラスチックを多く使っていたパッケージに対し、紙の使用比率を高め、プラスチック使用量を削減することで、環境負荷を減らす提案をおこなったのです。この取り組みの目標は、単なる改善ではなく、リサイクル性の向上や廃棄のしやすさにまで配慮した環境対応パッケージをつくり上げることでした。
堀崎:最初の成功例となったのは、入浴剤のパッケージでした。外側に紙を使い、内部にプラスチックをラミネートすることで、内容物の保護と同時にプラスチック使用量を60%削減したことで、お客様に導入いただけたのです。これがきっかけとなり、他の製品にも環境対応を進めていけたんですよね。
中溝:このプロジェクトが本格化したのは3年前です。当時は「化成品1課」から「環境資材課」となり、環境対応を全面に押し出したパッケージの開発を推進するため、2024年4月に現在の「環境デザイン課」に変更されました。
岡本:それ以降、紙を用いたパッケージの採用が増え、展示会での出展を通じて、より多くの企業に提案をおこなっていきました。私もお客様への訪問の際には業界の動向など、できるかぎり情報を集めるようにしていました。
新たな展望
中溝:環境対応パッケージの開発を進める中で、数多くの課題がありました。特に、リサイクルマークに関する規制をクリアするため、紙の比率を50%以上にするなど、細かな条件を満たしつつ、環境に配慮した製品をつくり上げる必要がありました。たとえば、紙を主材料とするパッケージは一般消費者に環境対応の訴求性が高いですが、パッケージにする際の加工方法には非常に高い技術が求められます。
堀崎:たとえば、ある大手食品メーカーのパッケージでは、紙のデザインや機能性に対する細かい要求に応えるため、開封性や開けた際にいかにきれいに切れるかなど何度も調整しました。開封が簡単でかつ、商品陳列時の強度バランスを取るため、材料メーカーや加工工場と密に連携し、お客様が満足する形状に仕上げるまで1か月ほどの期間が掛かりました。お客様が求めるデザインと使用感を実現するための試行錯誤は、大変ではありましたが、お客様が満足いく形状に作り上げることが出来たので楽しかった、と言うのが正直なところです。
中溝:また、競合が多い中で、当初はなかなか顧客の獲得に苦労しました。しかし、展示会に出展し、新たな顧客を獲得し、具体的な実績が積み重なるにつれて、製紙メーカーからの紹介や協力が得られ、環境対応パッケージの提案がよりスムーズに進むようになりました。
中溝:大手食品ブランドオーナーに採用されたことで、他の企業からの信頼も得ることができ、展示会での反響も大きくなりました。特に導入実績を出した後は展開がしやすくなりましたね。それまではフジモリの名前が入ったダミーサンプルしかなかったのが、お客様のブランド名が入った実績を見せられるようになりましたし。これまでニッチな市場を得意としてきましたが、今ではメジャーな市場にも挑戦する意欲が高まっています。
岡本:自分の部署が関わった製品が店頭に並んでいるのを見ると、自分たちの仕事を誇りに感じられます。特に、防災用トイレの紙パッケージで初めて受注を獲得したときは、自分の努力が実を結んだことを実感しました。また、展示会での新しいアプローチや提案を通じて、次のステップへ進む準備を進めています。
堀崎:環境対応と経済合理性の両立が、私たちのビジネスの基本です。エコな取り組みは重要ですが、それが利益につながらなければ広がりません。ヨーロッパでは、環境問題をビジネスとして捉え、成長させる戦略が進んでいます。我々もその視点を持ち、ビジネスを通じて環境問題の解決に貢献していきたいと考えています。
◎今後の挑戦と目指す未来
中溝:今後の目標としては、リサイクルしやすい単一素材でできたモノマテリアルパウチや紙製品のカトラリーなど、新しい環境対応製品の開発を進めていきたいと考えています。また、海外展開も視野に入れ、ヨーロッパ市場などの厳しい環境基準に適応した製品の提案を強化していきたいですね。
堀崎:やはり海外市場への進出は非常に重要だと思います。特に環境意識の高いヨーロッパで日本企業がどこまで競争できるかを試してみたいと考えています。また、国内でも新しい環境対応の素材や製品を取り入れることで、市場のニーズに応えていきたいです。
岡本:私もモノマテリアルパウチのプロジェクトに注力しています。この新しい技術を用いて、従来の製品にはない価値を提供することが目標です。環境対応に優れた製品を生み出し、市場に広げることで、自分たちの取り組みが社会に貢献できると信じています。
MESSAGE
中溝:私自身は化学専攻でしたが、専門知識はそこまで必要ではありません。重要なのは、問題に対して興味を持ち、それを解決する意欲です。我々の仕事は、課題解決に向けたプロセスを楽しむことができる人に向いていると思います。
堀崎:理系学生の中には、問題の本質を探ることが好きな方が多いと思います。私たちの仕事は、製品開発だけでなく、その後の物流や廃棄までを含めた全体のスキームを提案することが求められます。その過程で、理系のバックグラウンドが活きる場面も多いですよ。